フィンドフォーンの魔法

私がフィンドホーンという言葉を聞いたのは、寺山心一翁さんの講演を聞きに行ったときでした。
はじめは、フィンドホーンって、地名なのかグループなのか?まったくわからなかったのですが、寺山先生が愛あふれる、とにかく楽しそうな表情でフィンドホーンのお話しをするのを聴いていて、なんだかわからないけれどもとても魅力的に感じたので、本を読んでみました。

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フィンドホーンは、地名であり共同体の名前でもあります。
創設者のアイリーンとピーター・キャディの夫婦、友人のドロシー・マクリーンの3人が
スコットランドの北東部でトレーラーハウスで共同生活を始めたことからスタートしました。

この本は、3人がそこにたどり着くまでのそれぞれのストーリーと、
神や精霊たちとの交信によって、不毛の土地が植物の楽園となり、
喜びと希望の光に満たされる癒しの場所に人々が集まってくるまでの軌跡を
ポール・ホーケンが関係者にインタビューしてまとめたものです。

前半に書かれているアイリーンとピーターの関係が落ち着くまでのストーリーがすさまじいです。
シーナ・ガバンという女性が、アイリーン、ピーター、ドロシーの3人を結びつけるのですが、
霊的能力のあるシーナがそれぞれの人生に介入してきます。


シーナはピーターの元妻で霊的能力があり、
霊的指導と称して、二人の間を引き裂くような提案をしたり、アイリーンにつらくあたったりします。
その様子は読んでいて、アイリーンが怒るのも無理ないと思えるのですが、
そんな状況の末に、頭にきたアイリーンがシーナを襲うシーンの心理的描写が凄いのです!


シーナは物思いにふけっていたので、玄関の扉が開く音も聞こえなかった。彼女は顔をあげた。すると全身が凍りついた。それは永遠に続くような長い恐怖の一瞬だった。ショック、不安、恐怖が、彼女の全身の細胞に満ちあふれた。
・・・中略・・・
言葉の本流が吹き出し、あふれ、流れ、燃え上がった。潜伏し続けていた苦痛だった。これまでの2年間、彼女がアイリーンに投げつけていたあの憎悪と嫉妬が、腐敗し悪臭を放つ生ゴミとなって、自分の喉に流し込まれるかのように彼女には思えた。ほんの少しも残すことなく、すべてが自分自身に戻ってきた。

『これまでの2年間、彼女がアイリーンに投げつけていたあの憎悪と嫉妬が、
腐敗し悪臭を放つ生ゴミとなって、自分の喉に流し込まれるかのように彼女には思えた。』
って、すごい表現ですね。
この後、アイリーンとシーナは、取っ組み合いになり、アイリーンが勝利をおさめます。
フィンドホーンの楽園というイメージからは想像しがたい人間的な物語があったことに驚きました。

でも、アイリーンにとって、このつらい体験が霊性を高めるために必要だったと、あとからわかってきます。
本当に人生に起こる全てのことが、その人にとって必要なことなのだなあ~と思います。

後半は、
神からの啓示を実行して物事がうまく運んでいく様子や
フィンドホーンとは?ということの本質の追及に近づいていきます。

『ドロシー・マクリーンの世界』『ロック・クロンビーの世界』という章では、
精霊たちとの出会いや対話の様子が書かれていて、ファンダジー小説のような楽しさもあります。


ロック、妖精の王と出会うより
P259
「人間よ、われわれはおまえたちを全然理解できないのだ。
おまえたちは自然のバランスをひっくり返し、さまざまな動物を殺し、土地を砂漠に変え、大木を切り倒して燃やし、風景をだいなしにし、生きた大地をめったぎりにして、不治の傷を負わす。
おまえたちは足元にある万物を、また、おまえたちの頭上にある万物のすべてを汚す。おまえたちの行くところはすべて汚され、破壊される。おまえたちは自分自身を破壊していることがわからないのか?それほど愚か者なのか?」
この精霊の王の言葉は、もっともですね。
1975年に出版されて以来、多くの人々が訪れて、人生が変わる体験をしているそうです。



フィンドフォーンでは、神々と精霊と人間によるひとつの大きな実験が行われています。そこは北スコットランドの荒涼たる風景の中に生まれたエデンの園です。牧神や妖精たちの古い伝説の数々が今、現実によみがえっているのです。
人間と植物のコミュニケーションを含む最も進んだ一実験が、北スコットランドのへんぴな片田舎で行われています。(文庫版まえがきより)
なんだか行ってみたくなります。

フィンドホーン関係者の人生を通して、ファンタジックな面だけでない現実的な面もわかり、
地に足がついたスピリチュアルがどういうものなのかを感じられる本です。

フィンドホーンの魔法
ポール ホーケン
日本教文社
1995-06-01


創設者のひとり、ドロシー・マクレーンの著書も紹介しています。
↓↓↓ココカラ*ラボの記事↓↓↓
自分の生き方を見つめ直したいと思ったときに役立つ2冊『天使の歌が聞こえる』『樹木たちはこう語る』ドロシー・マクレーン(著)、山川紘矢・山川亜希子(訳)

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