本2018:旅猫リポート

原作は単行本として2011年に出版されています。
今回読んだのは絵本版。

絵本なので言葉が選ばれているから、
登場人物の気持ちやエピソードを想像する余白がある感じで
余計に心に響くのかもしれません。

コロボックル物語のファンとしては、
村上勉さんの絵や、
主人公の名前がサトルだったり、
本物のコロボックルも登場したりして、
有川浩さんが仕掛けた関連性?が嬉しかったです。


お話は、
愛おしい時間、大切な人を愛する思いを描いた
美しく切ない物語でした。

サトルとオス猫のナナは、一緒に幸せに暮らしていましたが、
とある事情で一緒に住めなくなり、
ナナの貰い手を探して、サトルの銀色ワゴンに乗って、
懐かしい友人たちに会いに行く旅をする、というもの。
猫のナナ目線で物語は語られていきます。

ナナをもらってくれないか?
ということで友人たちに会いにいくけれども、
その友人たちは、
親に捨てられたヨシミネや
父親に逆らえないコースケ、
サトルに負い目を感じているスギ、
サトル自身も小学生のときに両親を交通事故で無くしていて、
みんなとの思い出は決して楽しいことばかりではありません。
ですが
サトルにとっては、
楽しい思い出だけでなく悲しい思い出も全てが懐かしく、
目の前にいる友達たちとの時間を愛おしく感じているように思いました。
そして、
実はナナのことは大切な友達に会うための口実ではないかとも、
あとから思えてきました。

結局、
ナナを友達たちに預けることはなく、
サトルたちは海を渡って
サトルを育ててくれたノリコ叔母さんの家に到着します。
そこで、サトルとナナの終わりの物語りが始まります。

ナナのサトルへの思い、静かに過ぎていくサトルとの最後の時間。
・・・最後は、何度読んでも涙が出てしまいます。
本2018:旅猫リポート-2

読み終わって
今私が会いたい人は誰だろう?
学生時代一緒に沢山遊んでケンカもした友達たち。
顔は浮かぶけれども、もう連絡も取れない友達たち。
学生の頃は、みんなともう会えなくなるなんて思いもしないで、
未来のことだけ考えていたっけ。。。と、
懐かしい気持ちとともにせつない気持ちも湧いてきました。

今目の前にいる人との時間を大切にしたいな、
今ここで一緒にいられることを大切に味わいたいな、
と思わせてくれた一冊です。

最後までお読みくださいましてありがとうございます
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